「龍ヶ崎木綿」に会ってきた!

2022年6月24日

食料自給率はよく話題に上がりますが、日本の衣料自給率に関心を持ったことはあるでしょうか。

「衣食住」という言葉があるだけに、食料自給率に関心を持ったら「衣」と「住」も気になってきた今日この頃。

日本の衣料自給率はなんと「5%未満」だそう。ほとんどは輸入に頼っているのが現状です。確かに衣類のタグをみると海外で作られた物が多いですよね。

かつては国内で栽培し輸出していた絹や綿、麻などの材料も今ではあまり生産していないようです。

安い輸入品の衣料が大量に出回り、消費する側としては可愛いデザインの服が安く手に入るのは嬉しいと思ってしまいがちですが、その服がどのように作られ売られているのか?着用することによる環境への負荷は?自分が着なくなったらどうなる?などちょっと止まって考えると、今の消費の仕方を見直す必要があるように思えます。

そんな悩ましい状況の中、私の故郷・龍ヶ崎市で織物と草木染めの展覧会があるというので行ってきました!

『布(ふ)れあい染織展』(https://www.city.ryugasaki.ibaraki.jp/shisei/koho/press/2021press.files/20210416-hureai.pdf 龍ヶ崎市のプレスリリースより)

この展覧会は、龍ヶ崎市の歴史民俗資料館のボランティアの方が織った織物や草木染めの作品が展示されており、目玉は何といっても『龍ヶ崎木綿』です。明治から大正期にかけては盛んに生産されていたそう。

「龍ヶ崎で生まれ育ったけど『龍ヶ崎木綿』なんて一度も聞いたことなかった!何だ龍ヶ崎でも綿を栽培できるんじゃん!」と鼻息も荒く歴史民俗資料館へと出かけた私。

しかし着いてみるとまさかの休館日…。ちーん…。勢いだけで調べなかった私が悪いのです。石橋は叩く前に渡って気付くタイプです。

とりあえず学生の頃によくお散歩していた資料館裏の竹やぶの辺りをぶらつくと、以前は駐車場だったはずの場所に畑が出現。展覧会の案内に「綿の栽培からボランティアの方が行った」とあったので、ここで栽培していたのですね。新たに今年植えたと思われる作物の芽が出ていました♪

気を取り直して次の日にリベンジすると、今度はちゃんとやっていた。ホッ。やっと見られる~♪

資料館に入るのはかなり久しぶりでしたが、中に入ると機織機が数台並んでいました。ボランティアの方がお1人、機織りのデモンストレーションをしていらして、展覧会の会場を教えていただき、いざ見学!

会場は1部屋でしたが、様々な種類の織物が展示してあり、まったくの素人である私が見ても織り方のパターンの多様性に魅了されます。色々な色の糸を使って織られている物は、草木染めで染めた糸が使われていました。

そしていよいよ『龍ヶ崎木綿』。こちらは染めていない白い織物でしたが、厚すぎず薄すぎないしっかりとした布で、「シャツとか作ったらいいんだろうなぁ~」と何となく思いました。

草木染めで染めたストールも展示されており、こちらは展示方法が非常に美しかったです。同系色でグラデーションになるように吊るされたストールの色にうっとりし、それが植物由来の色であることに感動しました。

桜の幹からストールを染める方法の説明パネルがあり、花ではなく幹から「さくら色」に染めるのだという点は意外でした。

展示を見てから、機織りのデモンストレーションをされていた方に色々お話を聞きました。綿の栽培や収穫、その後の糸を紡ぐまでのこと、機織りのこと…。

機織り機は、実際に見ると何本もの縦糸が通っていますが、当然1本1本手作業で通さなくてはいけません。しかも1本でもずれたらやり直し…。わたし絶対ミスる…。

機織り機に無事に糸を通せても、やっとそこからがスタートです。今度は横糸を通しながらひたすら追っていく。本当に根気のいる作業…。

どうして昔の人が着物を最後まで大切に使っていたか、この手間を考えれば理解できます。今では簡単に手に入り捨ててしまう布を、かつては1m織るだけでもどれ程大変だったことか…。

綿にせよ絹にせよ原料を生産するのにも手間暇がかかる。大量生産のために綿の栽培では農薬をたくさん使うとも聞いたことがありますが、「オーガニックコットン」など農薬をあまり使えない栽培方法であれば、人が行う作業も増え製品の値段が高くなるのも頷けます。

今回の展覧会をきっかけに、自分でも綿の栽培や紡糸、機織りなどをやってみたいなと思いました。そして『龍ヶ崎木綿』を復活させて、エシカルファッションに力を入れているアパレルブランドなどとコラボして町おこしの1つにするというのはどうだろう?などと妄想したのでした。

長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます!